煙だし人形は、パイプ人形、煙吐き人形とも呼ばれ、エルツ地方で長年作られています。
一見、ただの木彫り人形に見えますが胴体の中はくりぬかれていて、上下に分かれます。
下半分には、お香を置くためのお皿があり、そこに円錐形のお香を置き火をつけ上半分をセットすると口元からいい香りの煙が流れ出し、それがあたかもタバコをすっているように見えます。
煙だし人形が、いつからこの形になったのかは定かではありませんが喫煙の習慣は19世紀の初めにイギリスからヨーロッパ各地に広まった後というのは確実で、1800年代のニュルンベルクのおもちゃカタログの中にパイプをふかし寛いでいる人形が掲載されています。
1820年から1830年の間にゾンネベルク地方で煙だし人形が作られていたことは分かっていて1850年頃、胴体は木製で腕や足が小麦粉などを練った生地でつくるタイプの煙だし人形はFerdinand Frohsが作ったとされています。
ザイフェンで作られ始めたころのモチーフは、主に働く人々「煙突掃除屋さん」「夜警」「郵便配達」などでハウシュタイン工房が制作していました。
プラスチック製のおもちゃが出始めた頃、生産は下火になりますが
20世紀の中頃、東ドイツの輸出商品として人気が高まり国営企業で生産されていました。
現在は、ハウシュタイン工房の流れをクラウス・メルテン工房が受け継ぎ、素敵な煙だし人形を作り続けています。
最近では人形だけでなく家型やキノコ型も色々な工房で作られ、クリスマスだけでなく通年飾って楽しめるアイテムになっています。